芸術家は「アブサン」を浴びるほどに飲む

アルコール大好きの酒豪大作家のヘミングウェイの好んだカクテルは、「ベリーニ:Bellini」は「Death in the Afternoon:午後の死」や「モヒート」「パパ・ダブル」とはちょっと違いますが、他のと共通するのはミントやライムといった、主張するハーブとでもいいましょうか薬草とでもいいましょうか。強くてすっきりした感じの味わいが好きなようですね。おそらくコリアンダーをもしヘミングウェイも知っていたら、きっとコリアンダー大好きになんだろうなぁ~と思います。ヘミングウェイもアメリカ人、はっきりとした味を好んだのかもしれないです。ペルノーをがっつりいれるシャンパンベースのカクテルなんて、すごいカクテルを編み出すなぁ~と感心してしまいます。

クオリティを求めて飲む「アブサン」

酒豪でここぞ!の勝負強さがひかる景浦安武のあだ名は「あぶさん」です。「あぶさん」も打席に入るときには、日本酒ドッパーンと吹きかけるのがお約束でしたが、その「あぶさん」ではなくリキュールの「アブサン」もかなりストロングなお酒です。ヘミングウェイの「日はまた昇る」にも登場しているし「誰がために鐘は鳴る」でもアブサンが出ているので、ヘミングウェイがすきだったリキュールだったことが分かります。このお酒もとにかく強い。薬草系のリキュールで、ニガヨモギ、アニス、ウイキョウが中心になっていてハーブにスパイスが主成分ですが、見た目はきれいなグリーン色です。なんでもストレートで飲むと脳天がしびれて想像力がわいてくるーー!!と芸術家達に愛されたリキュールです。

もとは薬?!

1700年代に鎮痛解熱効果がある薬酒としてスイス人の医者が開発したとされていますが、広まったのは1800年代のことです。北アフリカのアルジェリア侵略戦争に従軍したフランス人兵士たちが、赤痢予防で愛飲したことがきっかけでした。これまた「モヒート」のコレラ予防の為に薬として飲んだのが起源と同じような感じですね。確かに薬草臭が強いと「これは効きそうだ!!」という気持ちになるのはもちろんのこと、アルコールには消毒効果もあるので、アルコールで消毒だーーおまけに薬草たっぷりだから、赤痢にならないだろこれ飲めば!おまけに頭が突き抜けるようだ!!といったかどうかは知りませんが、強いお酒なのでかなりのインパクトだったことは間違いありません。

ニカモヨギ

ニカヨモギは伝説があります。伝説の出所がすごいスケールで、聖書からの引用です。英語名ではworm wood(ワームウッド)で、エデンの園から追放された蛇が這った後に生えたという伝説で、蛇が這った後からこの植物が生えてきた。という伝説からworm woodという名前が付いています。そしてニカヨモギのい学名はエルブ・アブサントで「聖なる草」という意味になります。まさかニカヨモギの中に含まれるツヨシなる成分がたうさん飲めば、神経麻痺であったり吐いてしまうなど誰もが思わなかったのではないでしょうか。おまけにこちらは習慣性が強いというのが困ったもので、キレイな緑色なので「緑の魔酒」と言われるほどですが、緑色に魅せられてあまり毎日がんがん飲まないほうが良いのかもしれません。

ニカヨモギは干したものは衣類の防虫剤につかわれて、ニカヨモギのい枝や葉は、健胃薬や駆虫薬としてもつかわれています。ニカヨモギを使ったリキュールは「アブサン」以外にも、「ベルモット」も白ワインにニカヨモギといったハーブを浸したリキュールです。

芸術家大好きアブサン

アブサンの主要成分に含まれているニガヨモギですが、ニガヨモギに含まれる成分のツヨシには向精神作用効果の幻覚といった症状が引き起こされるとされていたため、ベルギー植民地だったコンゴ自由国で禁止されただけではなく、20世紀の初頭にはスイス・ドイツ・アメリカなどでもアブサンの製造はもちろん販売も禁止されていました。スイスなどでは禁止でしたが、スペインでは特に禁止されることもなく、日本でも禁止されてはいませんでした。今でもスイス・ドイツ・アメリカでアブサンが禁止されているかといえば、そんなことはありません。1981年にWHOでツヨシ残存許容量が10ppm以下ならOKとしたので、製造が復活してスイスでも2005年に正式にアブサンが解禁されています。

芸術家達がこよなく愛したアブサンですが、その中でも特にアブサン大好きな画家として有名なのがゴッホでしょう。ゴッホは生きている間に高い評価をされることがなかった画家なので、もちろん貧乏でした。貧乏だからこそ安くて強くてすぐに酔えるアブサンにはまったのかもしれないですね。やすいアルコールだったので、たくさんのアブサン中毒者を出した罪なリキュールといえるかもしれません。

ゴッホの他にもアブサン中毒?!とも言われる芸術家は、19世紀象徴詩人の代表者でもあるフランスの詩人アルチュール・ランボーです。早熟の天才と言われれるだけあり、ランボーがまだ20歳半前半で詩を作る事を辞めていますが、37歳で亡くなっていますが若いうちに発表した詩は20世紀の詩人に大きな影響を与えました。また19世紀末の大作家で晩年は男好きが咎められて不遇の晩年となりましたが、「幸福な王子」などで有名な大作家で日本の文豪たちの森鴎外、芥川龍之介、夏目漱石などに多大な影響を与えたオスカー・ワイルドもアブサン愛飲家でした。アブサンをがっつり飲んだときに残した名言?迷言がありますが、「パリの酒場からチューリップが生えた」とは・・どんだけ飲んだ??とその場にタイムスリップできることなら、見てみたいものです。

オスカー・ワイルドは、まさに天才でしょう。IQテストを実行できるものなら、是非してもらいたいほどですが、140はあったんじゃないかなぁ~と勝手な推測をしてしまうほどです。文才だけではなく数学や科学分野でもかなり幼い頃から成績が良かったほどで、ダブリン大学に進学するときには奨学金をもらったほどです。そしてアイルランドから、オックスフォード大学へ進学ていますが、オックスフォード大学も首席で卒業するほど勉学もでき、その中でも特にギリシャ語に優れていたといわれています。作家としても大成功をおさめていますが、作家としても大成功を収めてアメリカにもわたり、アメリカ社交界でも人気者になりました。結婚もしていましたが、男性も大好きだったようでそのことで晩年は裁判沙汰になったりしてかなりお金にも困り梅毒にもなって、最後は梅毒からの脳髄膜炎で46歳でパリで亡くなりました。

アブサン中毒者?(笑)として有名な芸術家はまだまだいます。フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌです。「秋の日のヴィオロンの・・」のくだりで有名な大詩人で、デカタンスのよっ教祖!と仰がれるほど、酒・女・祈り・背徳などが混在した人生を送った象徴主義の詩人です。フランス人画家のトゥールーズ=ロートレックもアブサン好きです。ロートレックのほうは、13歳の時に左足の大腿骨を骨折して、14歳の時には右足の大腿骨を骨折したことから、脚の発育が停止してしまい成人したときでも身長が152センチしかなかったというとても不遇な青春生活を送り、ロートレック自身も身体障害者として差別を受けていました。

差別を受けていたからなのか、自然とロートレックが絵の対象としたのは「娼婦」や「夜の踊子」といった夜の世界の女性に絵を描く対象としていたので、私生活でもどっぷ酒場につかってアブサン中毒状態だったと思われます。そしてオスカー・ワイルドと同じく梅毒もわずらい36歳で脳出血で亡くなっています。